クハ103高運転台車の新製時形態分類【103系ATC/新製冷房車発売に寄せて】


大山のGM本社より片桐がお送りします

発表以来ご好評を頂いております、
ハイクオリティエコノミーキットシリーズの103系高運転台/新製冷房車。

当初EVOシリーズとして発売しました初期冷改車から、
随分とお待たせしてしまいましたが、
ようやく出来の揃ったユニットサッシ車の素材が手に入る事になります。

さて、今回クハ103はATC車のみの発売となっており、
国電モデラー諸氏にあってはその形態が注目されるところでしょう。

3/17の記事において、ドアコック蓋形状が
337番(49年度第1次債務車)以降のユニットタイプであることは
すでにお伝えしました。もうひとつ、形態において気になる
「雨樋のじょうご」の形状について。


▲上:小型タイプ 下:大型タイプ(写真:otorikk)

こちらは52年度本予算車以降の「大型タイプ」となります。
今回、着色済みキットからのシリーズ展開であるため、
おいそれと車体の加工について触れるのはどうかと思うのですが、
乗務員扉の直後に戸袋窓を開口し、ドア点検蓋の彫刻を埋めれば
「非ATC車」にすることができます。
(ガラスパーツは中間車用を切って使う設計のため、
戸袋窓ガラスも不足しません)

さて、では何番からのタイプが該当するのか。
ここが非常にややこしいポイントなのです。

具体的には「52年度本予算車」のクハ103に該当するのは
461・463・726・728
この4両となります。

・・・何が何だかわからないという方のために、
クハ103高運転台車における形態別の該当車番を下記に記します。

■原型(48年度第3次民有車~)
269~336

■ドアコック蓋ユニット化(49年度第1次債務車~)
337~460・462・464~499・702・704~720・722・724

■雨樋じょうご大型化(52年度本予算車~)
461・463・701・703・721・723・725~796・798・809・816

■ATC非搭載(53年度第2次債務車(一部)~)
797・799・800~808・810~815・817~844・846・848・850

※845・847・849は欠番

相当な混在具合で、単純に「何番から」と書けない理由がこれです。
これは番号順に落成したわけではなく、製造予算の都合であるとか
メーカーの見込み生産であるとか、複雑な事情によるもの。
たとえば、724番より番号的にはかなり若い461番の方が
製造年月日は半年も後だったりする訳です。
(クハ103-724 52.9.7 クハ103-461 53.3.8)

なお、ドアコック蓋がユニット化された49年度第1次債務車では
客扉クツズリのステンレス無塗装化も実施されています。
一方、乗務員扉クツズリの無塗装化については
趣味誌上に具体的な記述が見つからないのですが、
様々な写真から察するに、52年度本予算車からと思われます。

───さて、これら形態の差異はあくまでも新製時の話。
非冷房であった初期車に比べれば比較的大きな改造は
少ないとはいえ、細かな改造は広く行われており、
上に記したドアコック蓋や雨樋じょうご、クツズリ材質などは
後年になるにつれて変化が現れてきます。


▲後年取り替えにより現れた大型じょうご(原型と形状が異なる)

この辺はまた別の話として、各自研究の上で
キットの発売をお待ちいただきたいと思います。

製品の詳細情報は公式HPよりご覧ください。

(参考資料:鉄道ピクトリアル447号、鉄道ファン385号)

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